活版印刷にまつわる豆知識を5つまとめてみました

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こんにちは、オカジマです。
突然ですが、いま巷は空前の活版印刷ブーム! ではないでしょうか。

昨年末に発売された大人の科学マガジンの付録は小型の手フート式活版印刷機でした!
もちろんcottala-beccoでも購入し、樹脂板で印刷して遊んでいます。

写真は印圧が足りなくて少し失敗…。もう少し試行錯誤が必要ですね~。

本誌の方も内容盛りだくさんで、とっても楽しめました。
特に「活版くろにくる」という活版印刷の歴史を紐解く特集は興味をそそられました。

…読んでいて気がついたのですが。

27ページ、ニッシャ印刷文化振興財団様が所蔵されている「ハイデルベルグ活版印刷機」…。

なんか見たことあるな~と思ったら…。

あっ!!!

あった!
全く同じものかどうかは、ちょっと自信ないですが、うちの会社(山藤三陽印刷株式会社)にも活版印刷機がありました!

しかも現役バリバリ。このように稼働しております。
※一部モザイク処理をしております

活版印刷、このようにまた現代に蘇ってきておりますね。
というわけで今回は、活版印刷やその周りの豆知識をまとめてみました。

 


1. 当社には実はプラテンもある

実は先ほどの活版印刷機の他にも「プラテン」と呼ばれるすこし小さめのものもあります。

ガチャガチャとしたスチームパンク感のある見た目がなんともステキです。

残念ながら、今こちらの機械を扱える方が当社にはいないため、稼働はしておりませんが、まだ動くようです!

これが動かせたらいろいろと出来そうなのにな~。どなたか動かし方教えてください。

 

2. 活版印刷みたいなスタンプがある

それがこちら!

シャイニー ハンディスタンプ」という商品です。

どのように使うのかというと、このようにフタを開けて、

クリップ部分をスライドさせると、

スタンプ部分が出てきます!

このスタンプの印面が活版印刷の活字のように自分で組むことができるのです!

押すとこんな感じ。名刺をイメージして組んで、勝手にライター・エディターと名乗ってみました。
(そんな仕事しておりませんが…)

細い書体ですがかなりシャープに出てオシャレに仕上がります!

 

3. 大文字と小文字には活版印刷由来の呼び名がある

アルファベットの大文字と小文字のことを、英語でなんと呼ぶかご存知ですか?
大文字はCapital Letter、小文字はSmall Letterと呼ぶそうです。

実はこの他にも、大文字のことをアッパーケース(Upper Case)、小文字のことをロアーケース(Lower Case)なんて呼ぶことがあります。
なんと活版印刷の文化から由来した呼び名なのです。

なぜこのように呼ばれるのかというと、金属活字の時代に大文字用の活字ケースを植字台の上の方に、小文字用のケースを下の方に置いていたからだそうです。

ただ、知ったかぶって大文字と小文字のことをいちいち、アッパーケースとかロアーケースとか言いまくっていたらたぶん嫌われますね。(そんな人いないと思いますが)

 

4. キーボードで入力すると自動で鋳造・植字する機械があった

通常であれば、活版印刷では「金属活字」と呼ばれる鉛でできたスタンプのようなものを一つ一つ拾い上げ、並べることで版を作ります。なので、かなりの手間と熟練した技術が必要でした。

しかし実は、キーボードで文章を打ち込めばその通りに活字を鋳造して、植字してくれる機械があったそうです!

それがこちら

自動活字鋳造植字機」というそうです!

 

 by Jeff Quitney – “Typesetting”: Linotype Newspaper Layout, 1884 to 1970s (circa 1960) Salesian Vocational & Technical 

 

 by Jeff Quitney – “Typesetting”: Linotype Newspaper Layout, 1884 to 1970s (circa 1960) Salesian Vocational & Technical 

 

キーボードを打つと、そのとおりに活字の母型が上から落ちてきて、1行分がたまったら、左側の回転するユニットに入って活字を鋳造するようです。

 

 by Jeff Quitney – “Typesetting”: Linotype Newspaper Layout, 1884 to 1970s (circa 1960) Salesian Vocational & Technical 

 

特徴的なのは、出来上がった活字が1行分単位で固まっていることでしょうか。
このように1行単位で鋳造できるものを「ライノタイプ」と呼ぶそうです。
逆に1文字単位で鋳造きるものもあり、そちらは「モノタイプ」といいます。
(どちらも今はフォントベンダーの名前として有名ですね。)

 

 

 by Jeff Quitney – “Typesetting”: Linotype Newspaper Layout, 1884 to 1970s (circa 1960) Salesian Vocational & Technical 

 

一度使用した母型は自動的に元の位置に戻っていくようですね!

 

 by Jeff Quitney – “Typesetting”: Linotype Newspaper Layout, 1884 to 1970s (circa 1960) Salesian Vocational & Technical 

 

個人的に一番驚いたのはスペースの仕組みでした。
欧文の文字組みでは、ベタ組みの日本語と違い、単語と単語の間のスペースで行長を調節します。
こちらの機械は、自動的にワードスペーシングを調節してくれるようですね!

なんと画期的なのでしょう。
このような機械が遠い昔に存在していたなんて、なんだかロマンを感じます。

この自動活字鋳造植字機は写植の登場によって徐々に姿を消していったそうです。

 

5. オモテ罫とウラ罫

デザインの現場ではどうかはわからないのですが、印刷会社のDTPの現場では罫線のことをオモテ罫ウラ罫なんて呼ぶことがあります。
大体オモテ罫は0.12mmくらい、ウラ罫は0.4mmくらいの太さです。
それぞれ太さの違う罫線ですが、こちらも活版印刷時代の文化から由来しています。

活版印刷の時代の罫線は、亜鉛や真鍮、もしくはアルミニウムでできた薄い板で印刷していました。

この板、じつは片方の辺が細くなっていて、もう片方の辺は厚くできています。
つまり、組むときにどちらの辺を上にするかによって太さを選べたということです。

コンピュータ上でデザインや組版を行うことが一般的になった現在では、罫線の太さは自由自在に選べるので、あえてオモテ罫、ウラ罫と呼ぶことは少なくなってきているかもしれませんが、こういう歴史があると知るとなかなか面白いですよね。


いかがでしたでしょう。また例によってあまり覚えていても得をしないような情報ばかりでした。

これからも活版は盛り上がっていくと思うので、波に乗り遅れないようこの記事を参考にしてみるといいかもしれません!

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