こんにちは、オカジマです。
突然ですが皆さんは、文字の大きさを表す単位をご存知でしょうか?
Wordを開くとフォント選択の横に「10.5」と出ていますね。この数字が大きくなれば、文字も大きくなります。でもその単位は何でしょう?
ミリメートル? ではありません。
正解は「ポイント」です。
10.5pt、12ptといったように表記されます。
この「ポイント」という単位は、ワードやエクセルなど一般的に使われるソフトであったり、デザインの現場でプロが使うソフトでも、そして海外においても広く使われています。
じつは、この文字の大きさを表す単位はポイントの他にも存在します。
しかも日本特有の単位があるのです!
今回はそれをお伝えしたいと思います。
印刷の現場でよく使われる「級」
印刷・DTPの現場では、ポイントではなく「級」という単位が使われることがよくあります。
どれくらいの大きさなのかというと、0.25 mmになります。
この「級」という単位は、1 Q、2 Qといったようにアルファベットを使って表記されます。
1Qは0.25 mm、つまり1/4 mmなので、Quarter(クォーター)の頭文字の“Q”から由来した単位なのです。そこに「級」という漢字が当てられたという経緯があるそうです。
級のいいところ
私自身も学生時代はポイントに慣れ親しんでおり、印刷の現場に入って初めて出会った「級」という単位に最初は戸惑いました。
ただ級数に慣れてみると、「あ、これは便利だ!」と思える部分があったのでご紹介します。
前述のように級は、0.25 mmなので、4Qで1 mmとなります。
同じ要領で、8Q = 2 mm、12 Q = 3 mmとなるように、ミリメートルへの換算がしやすいのです!
私がいた現場では、16 Q以上の級数は整数(mm)に換算できるように、4の倍数(Q)を使う事が多かったと思います。
たとえば、
- 16Q = 4 mm
- 20Q = 5 mm
- 24Q = 6 mm
- 28Q = 7 mm
- 32Q = 8 mm
- 36Q = 9 mm
- 40Q = 10 mm
のような感じです。
このことを理解しておくと、Illustratorなどで文字組みするときにも、
「16 Qの20字詰めにしたいから…横幅は80 mmか!」
みたいな感じで文字領域が作りやすくなると思います。
級の悪いところ
級という単位を使うにあたって、いろいろと関連する用語があったりします。
たとえば文字サイズを大きくすることを「Q上げ」、反対に小さくすることを「Q下げ」なんていいます。
上司に「ここもうちょっとQ上げした方がいいですかねぇ」といったような使い方をしていました。
その後、私がWEBの仕事に携わるようになった頃、ディスプレイに表示されたサイトデザインを見て、「ここの文字、もう少しQ上げできますか?」と聞いてしまい、担当の方に「えっ」みたいな顔をされてとても恥ずかしい思いをしました!
WEBの世界で“Q”が使われることはまずありません。
あ、これは「級」の悪いところではなく、単に私が悪いだけでした。すいません…。
「級」の悪いところは特にありません!
級をポイントに換算しよう
現在、コンピューター上で用いられるポイントは約0.35 mm(0.352778 mm)とされており、級数とは完全に互換することは出来ませんが、おおよその値として代替することならできます。
ポイントを級数に換算するには、こちらのサービスがとてもおすすめです。
具体的に「●ポイントは○Qくらい」と覚えるまではいかなくても、「Qのほうがポイントより小さい」と感覚的に覚えておくといいかもしれません
級とともに使われる単位、「歯」
「級」と一緒に用いられる単位に「歯(は)」があります。
こちらは文字の大きさではなく、文字と文字の間や、行と行の間などの距離に使われる単位です。ミリメートルに換算すると0.25 mm、Qと一緒ですね。
単位の表記としては“H”が用いられます、1H、2Hといった具合ですね。
「本文級数が16 Qの、行送り24 H」といった感じです。
活版印刷の時代に使われていた「号」
現在、デザインや文字組みなどはコンピューター上で行われることがほとんどです。
ですがその昔、組版には「金属活字」が用いられていました。
劇場アニメ版の『銀河鉄道の夜』をご覧になったことがある方ならイメージしやすいかと思いますが、鉛で出来たスタンプのような「活字」と呼ばれる文字を一つ一つ拾って並べ、文章を組んでいました。(例えが古くて申し訳ありません。)
その活字の時代に使われていた文字の大きさの単位が「号」というものです。
大きい方から、初号、1号、2号、3号、4号、5号、6号、7号、8号まであります。
初号の4分割サイズが2号、そのまた4分割が5号、そのまた4分割が7号といったように倍数の関係が成立します。
金属活字はおもに鉛でつくられているので、大きさを自由に変えることは出来ません。
パソコンが一般的となった今ではなかなか想像しにくい感覚かもしれませんが、文字の大きさはこのように段階的に変わっていくのです。
号をポイントに換算しよう
活字の単位は「号」、という説明をいたしましたが、同時にポイントも使われていました。
なので号も、大体ではありますがこのような数値でポイントに換算できます。
(ただ今広く使われているポイントとは少し異なります。その説明はまた今度の機会に行います。)
ちなみに、冒頭のこの画像ですが。
実はこの「10.5 pt」というのにも理由があるらしく、調べてみたところ、
かつて、日本で公文書の作成の際に使われたフォントのサイズは「5号」と定められていました。この「5号」とおおよそ同じくらいのサイズであったのが10.5ポイント。従来の「5号」に代わり、1962年にJIS・日本工業規格の「フォントの暫定的な基準」として設定されたのが、本日まで残る謎の「10.5ポイント」です。
出典:なぜWordのデフォルトフォントサイズは「10.5」なのか?
という経緯があるそうです。
号のつくを書体を上手く使おう
ちなみに、和文書体の中に「秀英初号明朝」とか、「秀英3号」、「秀英5号」などと名前についているものがあります。
これらは、それぞれ初号サイズ、3号サイズ、5号サイズの活字がもとになった書体です。
この「5号」や「3号」という意味合いを理解していると、これらの書体の使い方がもっと上手くなりそうですね!
いかがでしたでしょう。
「級」や「号」といった文字サイズの単位についてご説明いたしました。
さすがにDTPの現場で「号」を使うことはないと思いますが、「級」は現役で使われています。
級数派の方も、ポイント派の人もそれぞれのことを少し知っておくと損はしないと思います!
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